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風力発電ビジネスを「リスクの低い事業」にするために

Windconnect.co.,Ltd

金融の目線で(地域案件のプロジェクト・ファイナンス)

夢のプロジェクト・ファイナンス

 地域の風力発電の計画では、多くの場合、銀行の融資の問題にぶつかります。一般に銀行融資では与信、担保が必要となるため、現在主流の規模の2MW風車1基でも約6億円の投資となり、地域の小さい企業や団体、NPOが風力発電を実現するのは非常に難しくなります。
 この一つの解決策となりえるのがプロジェクト・ファイナンス。これまで厳密な運用がなされているわけではありませんが、プロジェクト・ファイナンスは、通常の会社与信などの融資(コーポレート・ファイナンス)と異なり、「プロジェクトの収益の確実性」に対してファイナンスを行うもので、理屈上は資本力の無い企業でも融資が可能となります。
 この言葉は時として魔法の言葉となってしまう事があります。
これまで多くの地域の事業計画者とお話させていただくと、「この事業はとても儲かる、こんなに儲かる計画なのだから、プロジェクト・ファイナンスすべきだ」「我々は強い熱意があるから大丈夫だ」等の声を聞きます。
 また、その事業の資本金はどの程度を想定しているのか?これまで2MW6億円規模の案件においては、資本金1000万円程度という話が多く、この場合5億9000万円をプロジェクト・ファイナンスで融資してほしい。このような話が現実に日本各地で見られます。(※実際に金融機関に交渉した経験もあります)

儲かるかどうかだけでは魅力は無い

 プロジェクト・ファイナンスは「事業収益」に融資するものですので、「事業収益」が儲かるかどうかはひとつの判断に過ぎません。風況が極めてよくどんなに儲かると想定さても風車が壊れて長期停止したり、事故多発で著しいメンテ費用や保険の高騰を招いて、あっという間に経営悪化にもなりえます。また、風況観測した年がたまたま過去何十年かで一番強い風だった、という事もありえるかもしれません。
大切なのは「儲かるか」ではなく「確実が否か」。つまり盤石な事業であることが大切になります。

プロジェクト・ファイナンスで必要な事

 融資する側の立場を考えますと、収益は金利である、この点を踏まえると、プロジェクトが儲かるか、儲からないかによっても、金利が変わるわけではありません。つまり、良し悪しは、「プロジェクトが確実に安定的な収益を出し、それを元に融資金額が返済されるかどうか」となります。この視点を風力計画者が持って、金融機関と交渉する必要があります。
 プロジェクト・ファイナンスを実現するには、徹底した「リスクつぶし」の繰り返しになります。
 風力発電事業は、火力発電などと異なり燃料調達が無い為、この変動リスクは回避できます。固定価格買取制度では、電気の買い取りは法律で義務付けられ、かつ「固定価格」つまり、20年間の買い取り価格は変わらない、世間一般のビジネスモデルと比較すると、この時点でリスクは非常に低減されています。
しかし、やはりリスクはたくさんあります。
大まかなリスクとしては
・20年間安定して風が吹くか、変動リスクは大丈夫か
・災害リスクは?(落雷、台風、乱流、地震、土砂災害等)
・風力発電機の信頼性、耐久性?
・風力発電機メーカーの倒産や撤退リスクは?
・メンテナンス体制は大丈夫か?
・損害保険のカバー範囲は適切か?将来の変更リスクは
・修繕積立・予備費は十分か?
ほか、
各種契約や法令遵守、各種許認可が適切か、などリーガルの問題もリスクとして考えなければなりません。騒音問題で地域住民とトラブルになればときとして運転停止が必要になることもあります。
 このように徹底して「リスク」を最小化することが、プロジェクト・ファイナンスの要件とも言えるかもしれません。

何かあった時に

資本金1000万円の計画はプロジェクト・ファイナンスできるのか?

 これは通常の場合は、NOとなります。(※何度もNOと言われました)これも、前述のリスクをすべてクリアーしたとしても、NOとなると思います。
 この理由は、「資本金の少なさ」によるものです。

 金融機関では安定的な返済能力を見る指標としてDSCR(Debt Service Coverage Ratio)※1を用います。
これは、各年毎の元利金返済前キャッシュフローが該当年の元利金支払額の何倍か?を示す比率となります。元利金返済カバー率とも言います。
言葉や概念はわかりにくく感じると思いますが、かなり簡単にまとめますと、「毎年毎年ちゃんと借入金を返せる余裕があるのか?」の返済の余力とも言えると思います。

一般的に、になりますが、風力や太陽光発電事業ですとDSCR 1.2〜1.3必要となります。
ここで問題になってくるのは、毎年毎年DSCRの数値は変わります。
この際に、DSCRは、固定資産税や融資支払利息などの負担の大きい稼働直後が低くなりますので、借り入れ比率が高い、借入期間が短い等で大きく数値が低下します。
DSCRが1.2〜1.3必要と言われている点は、何らかの事故などで、かつ保険などで利益補填も得られない等(支払いまでに長期間というケースも)にどれだけ余力があるのか?となります。
更に、何かあった時、それをカバーできる、キャッシュ不足をしのげるのか、として資本金(あるいはキャッシュリザーブ)がどれだけあるのか?
つまり、資本金が十分にあるか否かも、プロジェクト・ファイナンスの重要な要素になります。
 判断基準は金融機関ごと、また事業の特性などで変わりますが、風力の世界では一般的に3割程度(最近はメガソーラーでは2割り程度の話もでていますし、風力も再エネ融資ブームもあり下がりうる可能性はあります)。つまり2MWでは1.8億円の資本を用意する必要があります。

つまり、プロジェクト・ファイナンスでは、事業に融資するモデルですが、そもそも、それを行うだけの資金を用意できるのか?
このこともきちんと考えておく必要があります。

「熱意」だけでは事業はできません。金融機関をいかに納得してもらえるのか?が重要となります。つまり「熱意」=「リスクをどれだけ潰せているのか?」。また、「熱意」=「用意できる資本金」とも考えておく必要があります。

・本説明では、2MWの風力発電としていますが、通常プロジェクト・ファイナンスでは様々なデューデリジェンスを行うため、コンサル、第三者機関の起用も含め、費用がとてもかかるため、数十MW規模でないと難しいとされています。
 しかし、昨今のメガソーラーの2MWクラスでのプロジェクト・ファイナンスが増えている(※懸念も大きいですが)ため、2MWの風力発電のプロジェクト・ファイナンスを想定して書いています

この内容はあくまでも一般論です
 実際には資本力が不足する地域などが計画する風力案件でも金融手法やリスク対策などで、案件が実現する例もあります
優先株、劣劣ローン、メザニン、ABL、メーカーによる長期稼働率補償、リースモデル・・・このあたりも事業者側がいかに金融のことを学ぶのか?が大切になってくると思います

※1 DSCRについては、事業計画のキャッシュ・フローで算出するのが一般的ですが、公知のキャッシュ・フローシートとして環境省が太陽光発電のCFシートを公開しています。
公知のCFシートにメガソーラーの事例を入力すると下図のようになります

 
 



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